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めざせ1日1エントリ

曖昧は世の中〜紀伊カンナ先生の「魔法が使えなくても」を読みました。

今日の挨拶

みなさんこんにちは、べにぃです。
今日もアクセスくださり誠にありがとうございます。

これはほんの一例なのですが、日本における正義(善)と悪というのは、時代が進むにつれてどんどん曖昧になっているそうです。
昔は悪者がいれば超人的な力を持つヒーローがやっつける、などわかりやすい二項対立で成立していたのですが、00年代前後からその二項対立は徐々に崩れていきます。
正義と悪の境目は少しずつなくなり、それぞれのあり方はどんどん曖昧になってきているのです。



そういうわけで紀伊カンナ先生の「魔法が使えなくても」を読みました。

以下めちゃくちゃためらわないネタバレありです。









曖昧は世の中

紀伊カンナ先生の「魔法が使えなくても」を読んだ。
人間関係や仕事といった人生のエトセトラで悩んだり決断したり振り回したり振り回されたりする若者たちの話だ。
短編作品を集めた単行本漫画だが、登場人物にはうっすらとコネクションがあって、短編連作みたいな感じになっている。

紀伊カンナ先生はエトランゼシリーズと呼ばれるボーイズラブ漫画の作品が有名な漫画家さんだ。
エトランゼシリーズの詳細についてはこちらをご参照いただきたい。
www.shodensha.co.jp
こちらの作品でも見られる穏やかで繊細で暖かな描写が「魔法が使えなくても」の中でも健在で、読むと気持ちが温かくなるような優しい気持ちになった。


本作では、中でも個人的にはアニメーターの岸くんの真面目ダメ人間ぷりに感情移入してしまった。
仕事で芽が出ない、好きな女の子にコミュ障発揮してめちゃくちゃ嫌われる、悪気はないけど噛み合わない、メンタルがめちゃくちゃ弱い。
あまりうまくいってない。
そしてそんな自分を激しく憂いていてすぐ心がぽきっと折れる。

こういうところにすんごい心当たりがある。
この自分に悲観的なところ、限界点超えたら仕事を投げ出して唐突に逃げ出しちゃうところ。
心が弱ってダメな方向に振り切れるとこうなってしまいそうな感じがすごくわかる。
ここまではっきりぶん投げはしないかもだけど、あかん感じに選択肢を取るとこうなりかねないな、みたいな部分がわかりやすく出ているのが岸くんなのかもしれない。
よく言えば決断力と行動力が高いのだろう。
精神的に余裕がなくなるとそれがトンデモナイ方向に行ってしまうのだ。

一方でちゃんとしてないけど彼を認めてくれる人もいて(同僚の波間くんである)、精神的に弱った彼を見捨てず元気付ける。
仕事で追い詰められて失踪しても迎えに行くし、恋と仕事に振り回された挙句に仕事を辞めていろいろあっても連れ戻しに来る。
パッとしてるわけではないけど、まったくダメなわけではないという岸くんの有様が非常に胸に刺さった。

そんな岸くんだが、思いを寄せていた千代さんの地雷を正面から踏みつけて制裁ビンタを食らってしまう。
千代さんにはたまきという同居人がいるのだが、二人の関係を誤解して踏み込んだのがいけなかった。
岸くんに悪気はなかったが、何も知らないのに簡単に踏み込まれた千代さんはめちゃくちゃキレて岸くんをぶったたいた。
そのショックで実家に戻るも、家業を手伝わず腑抜けた彼に結局居場所はなくて、また東京に戻っていく。

仕事ってなんだ、働くってなんだ。
わかりやすくうまくいっているわけではない、決して楽ではない人生を彼はめちゃくちゃ悩む。
東京に戻ってアニメーターの仕事を再び始めるも、ベンチで途方にくれたりする。
もがいている感じがめちゃくちゃいい。


物語のラスト、彼は公園で千代さんの同居人のたまきに偶然再会。
岸くんの視点ではたまきは千代さんの恋人で、すごく仲良しな2人に映る。
ゆえに岸くんはたまきのことが大変にうらやましい。
君はキラキラしてるよね、とか羨んでみたり、千代さんとの関係について問いただしたりもするけど、彼女たちには彼女たちにしかわかりえない複雑で曖昧な事情があった。

岸くんとたまきの2人には、やむをえず得てしまった現実があって、お互いにそれをちょっとうらやましいなと思っている。
だけど必ずしもそれは願ってなったものではなくて、なんとなくの結果でもたらされた現実だった。

夢破れたり、そもそも夢がなかったり、うまくいかなかったり、なんとなくの結果がもたらした事でも、誰しもに平等に人生があるのでそれなりに生きている。
はっきりした答えを求めたがる岸くんと、答えがなくても大丈夫だと思っているたまき。
自己採点100点じゃなくても、決して0点ではなくて、それでもまあおっけーと自分を許せるかどうかの違いが2人にはあったのかもしれない。
いや、全部が全部おっけーというわけではないんだろうけど。

岸くんにたまきは「白か黒じゃないよ」と微笑みかける。
曖昧であることもまた1つのかたちなのだとたまきは言うのだ。

現実は簡単に丸つけできない。
正解でも不正解でもない間の中を自分なりに納得して人は暮らしている。
曖昧な世の中だけど、若者の人生は長くて、考える時間も、これから得られる体験もたくさんある。
良くも悪くも人生は長くて、わからないことと手をつなぎながら自分の人生を進めていくのだ。



今日のまとめと〆

おすすめです。読んでください。
私は欲張りなので個人的にはキキちゃんと鶴子さんの話ももっと読みたい。

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今日も読んでくださりありがとうございました!
また明日もよろしくお願いいたします。

べにぃ


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